■ストローク・ゲインド(SG)から解ること
最近のPGAゴルフツアーではティーショットの飛距離がスコアに
大きく貢献している事を明らかにしたが、
ショットやアプローチ・パッティングについてはどうだろうか?
ストローク・ゲインド(SG)は、コロンビア大学の
マーク・ブローディ教授が2007年以降学術機関に提供された
ショットリンクスというデータを利用して開発した。
「スコアを縮めるにはどうすればいいか?」
「ドライバーで10Yの飛距離が伸びたらどれだけ有利か?」
ストローク・ゲインド(SG)では各ショットの貢献度が算出でき
プレーヤーのスコアリングの傾向、得意距離や苦手なショットなど
個々のパフォーマンスを統計的に分析する事が可能だ。
それらの分析されたゴルフデータを元に、
プレーヤー達にとって有効的な練習方法や
コースマーネージメントにも活用されている。
ストローク・ゲインド(SG)を分析する事で、
プレーヤーの得意・不得意なショットがわかる。
■ストローク・ゲインドはどうやって算出する?
ではストローク・ゲインド(SG)とはどうやって算出すればいいのか?
簡単に説明すると、そのショットがPGAゴルフツアーの中で平均より良いか悪いか?
を1打ずつカウントし貢献度を算出する。
平均よりも良いならプラス(+)であり、悪い場合はマイナス(−)であり、
プラス(+)が大きい方がより良いショットだったという事になる。
例えば、PGAゴルフツアーではPer4=400Yでは平均4.0打でホールアウトするが、
一方で340Yでは平均3.71打であるし、500Yでは平均4.41打もかかる。
実際に1ホールで算出する場合は
ストローク・ゲインド・トータル(SGT)という指標で表される。
いずれも4打(パー)だった場合は
400YではSGT= 0(平均レベル)
300YではSGT = -0.29(平均より0.29打失った)
500YではSGT = 0.41(平均より0.41打稼いだ)
ストローク・ゲインド・トータル(SGT)とは
1ホールで平均スコアよりどのくらい稼いだかを知る指標
■ショットごとのストローク・ゲインド(SG)を分析する。
1ホールでの稼いだスコアをSGTで算出出来るが、
実際にはショットごとに細かく評価し、
どのショットで稼いだかを分析する事も可能だ。
PGAゴルフツアーでは全てのショットの距離と場所のデータを記録している為、
どんなショットでも稼いだ打数を算出する事が出来る。
例えば残り300Yのフェアウェイから打ったショットの結果に関して、
2つのパターンでSGを分析してみる。
PGAツアーでの平均データは以下になる。
300Yフェアウェイからホールアウトまで PGAツアー平均3.78打
100Yラフからホールアウトまで PGAツアー平均3.02打
80ヤードのフェアウェイからホールアウトまで PGAツアー平均2.75打
・パターン1
300ヤードのフェアウェイから100ヤードのラフに入った場合
3.78(300ヤードフェアウェイ)ー3.02(100ヤードラフ)ー1(かかった打数)=-0.24
このショットのストローク・ゲインドは-0.24打(0.24打失った事)になる。
・パターン2
300Yのフェアウェイから残り80ヤードのフェアウェイに入った場合
3.78(300ヤードフェアウェイ)ー2.75(100ヤードラフ)ー1(かかった打数)=0.03
この結果から、パターン1のケースではPGAツアーではあまり良くないショットであり、
パターン2のケースでは平均レベルのそこそこショットだったという事が解る。
ショットごとのストロークゲインドの算出は
打撃地点からホールアウトまでの平均打数から
打撃後の地点のホールアウトまでの平均打数を減らして
1打ひいたもの
■実際のショットを分析してみる。
SGT(1ホールで稼いだ打数)は4種類のショットに分類されており、
それぞれを評価する事でプレイヤーのパフォーマンスが分析できる。
SGT = Off-the-tee + Approach the green + Around the Green + Putting(SGP)
1ホールで稼いだ打数=ティーショットの評価+アプローチの評価+グリーン周りの評価+パッティングの評価
400ヤード(パー4)を3打(バーディー)でラウンドしたケースを用いて算出してみよう。
【off-the-tee】 (ティーショットの評価)
すべてのパー4とパー5のティーからのプレーヤーのパフォーマンス
400ヤードのティーショットで300ヤード打った場合
400ヤード(打つ前の距離) = PGAゴルフツアー平均4.1打
300ヤード(打った距離) = SGT(稼いだ打数)
100ヤード(残り距離) = PGAゴルフツアー平均2.0打
SG (off-the-green) = 4.1 - 2.0 - 1.0 = +1.9打(稼いだ打数)
【Approach-the-Green】(30Y以上のセカンドショットの評価)
ティーショット以外のアプローチ・ショットでのパフォーマンス
※パー3のティーショットはこちらに含まれる。
残り100Yを打ち、8Feet(約2Y)に寄せた場合
100Y(打つ前の距離) = PGAゴルフツアー平均2.8打
98Y(打った距離) = SGT(稼いだ打数)
8Feet(残り距離) = PGAゴルフツアー平均1.5打
SG (off-the-green) = 2.8 - 1.5 - 1.0 = +0.3打(稼いだ打数)
【Around-the-Green】(30Y以内のアプローチショットの評価)
グリーンの周りの30ヤード以内のショットのパフォーマンス
上記と同様に算出
【Putting (SGP)】(パッティングの評価)
パッティングを含む、グリーン上での全てのショット
その距離からホールアウトするまでのツアーの平均パット数ー自分のパット数
残り8Feetをカップインした場合
8Feet(打つ前の距離) = PGAゴルフツアー平均1.5打
8Feet(打った距離) = SGT(稼いだ打数)
ホールイン(残り距離) = 0
SGP (Putting) = 1.5 - 1.0 = +0.5打(稼いだ打数)
【全ショットの評価】
これらのショットを足し合わせる事で、
400Y(per4)をバーディで上がった場合の
SGT(1ホールで稼いだ打数)も算出する事ができる。
SGT = Off-the-tee + Approach the green + Around the Green + Putting(SGP)
SGT = 1.9+0.3+0.5
= 2.7
この結果だけを見ると、Off-the-teeの貢献度は+1.9打と
ティーショット・アプローチショット・パッティングの中では
ティーショットが非常に効果的だったと分析できる。
各ショットのストローク・ゲインドを算出する事で
有効なショットを見つけだす事ができる。
■PGAゴルフツアーのストローク・ゲインド(2017年度)
PGAゴルフツアーでは世界ランキングNo.1のダスティン・ジョンソンが
SGT…1.905と1ラウンドで2打近く稼いでおり、
半分をティーショットが占めている事が解る。
対照的なのがジョーダン・スピースで、こちらはアプローチ・ショットで
半分近くを稼ぎ出している事が解る。
このようにストローク・ゲインドを使用する事で
PGAツアープレーヤーのパフォーマンスを簡単に分析できる。
ゴルフデータ革命にはパッティングやティーショットを中心とした
ストローク・ゲインドに関して詳しく述べられている。
#ストローク・ゲインド
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